「正しい失敗の先に成功がある」 ANA X 轟木新社長インタビュー

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ANAマイレージクラブの運営など、ANAグループの顧客関連事業を担う「ANA X」。2016年に設立された比較的新しい会社です。日常生活の移動でポイントが貯まる新しいモバイルアプリ「ANA Pocket」の開発や日本各地の特産品を集めたお店「TOCHI-DOCHI」の運営などANAグループが提供する新しい価値を創造し続けています。「ANA X」が今後どのような戦略を描いているのか、4月に就任した轟木一博新社長にR&D推進部の松野李奈が話を聞きました。

轟木社長は1998年、キャリア官僚として当時の運輸省に入省。空港政策などを担ってきました。その後、2017年にピーチアビエーションに入社しANAグループの一員となりました。

松野 
今年4月に新たに就任されましたが、社長就任が決まった時の率直なお気持ちをお聞かせください。

轟木 
率直に楽しそうだなと思いましたね。ANAグループ全体としては事業の構造を改革するということで、航空に頼った構造から他の産業に挑戦するという方向性で進んでいます。
今までのANAが築いてきた安全安心という信頼関係に基づくお客様との関係を生かしつつ他の産業に挑戦していく。他の産業に挑戦していくからには新しいやり方で新しい勝ち方を見つけていかないといけない、そこをどう両立していくのかやっていかないといけない。そこをしっかりやっていきたい。

松野
個人的なことをお聞きできればと思うのですが、なぜ国家公務員からANAグループに入社しようと思ったのですか?

轟木
私がANAグループの会社に入ったきっかけば、格安航空(LCC)のピーチアビエーションに入社したことです。LCCというのは、一人一人がマルチタスクを行い複数の業務をを掛け持ちすることで、全体としての生産性を上げようというコンセプトで組織ができています。大量の仕事を掛け持ちしてそこで様々な経験ができたことが、その後に繋がっているなというふうに思っています。

国家公務員になろうと思ったときからやっぱり国を良くしたいという思いで仕事をしてたわけですけど、それがどんな立場でも自分の思いを持っていればできるなという感じたんですね。
そうすると自分に一番合うのはなんだろうと思ったら、会社の経営、そして生産性の高い会社をつくる、そういうところに、力を注ぎたいと思ったんです。本当に自分がやりたいと思うことを挑戦するのがいいだろうと思いました。「一度きりの人生だから」と言うとちょっと陳腐な言い方になりますが、そういう思いでやりました。

松野
今後どのような事業に力を入れていきたいとお考えですか?

轟木
まずはANAマイレージクラブ運営です。会員になっていただいて、様々なANAのサービス商品を使いいただくことでマイルを貯めて、そしてまたマイルを使っていただく。
それに並行して様々な関連するデジタルのサービス、例えば、eコマースとか最近はANA Pocketというモバイル端末を持って歩いていただくだけでマイルがたまるようなサービス、こういうサービスを展開している。
そして旅行事業もやっていて実際にお客様に旅行に行っていただいて体験かつ楽しんでいただく、そういう事業を並行してやってるのが「ANA X」の強みだと思っています。
お客様のデータをデータベース化して、そこの分析の中から、お客様のニーズを把握し、お客様のニーズに合ったサービスを提供していく、そういうデジタルマーケティング機能の強化も図っていきたいと思っています。

松野
ANA Xではイタリアのワインを紹介して旅した気分になるオンラインツアーや地域の特産品を紹介する店舗の運営を行うなど新しい挑戦を続けています。なぜこのように新しい事業に挑戦しているのですか?

轟木
ANAグループの大半が、航空輸送事業をやっている中にあって、今のコロナ禍、航空旅行が抑制されるとグループ全体の事業がダメージを受けるという構造にあります。リスクの分散として、航空の調子に関わらず収益を上げてグループ全体を支えていける、そういう会社に成長することが期待されているというふうに思います。ですから新しい事業に挑戦することを全力で取り組んでいきたいなというふうに思います。

松野
入社式の時に社員に向かって失敗を恐れず挑戦を続けて欲しいと言っていました。私もすごく勇気づけられました。

轟木
我々が良いと思うものをご提案して、そのまた反応、評価をいただいて、それに合わせて直していく、それを繰り返していくことで必ずその必要としていただけるサービスを作っていけると考えています。

失敗を恐れるなでもなく、いやそれはもう失敗をしようだろう。正しく挑戦して正しく失敗したらその先に成功がある。社員の皆さんもそうですけど楽しく幸せになるのが一番だと思います。スタート地点は自分と自分の周りが楽しく幸せになることだと思っています。


掲載元

https://www.anahd.co.jp/ana_news/2022/06/29/20220629.html